くたびれはてこ氏の炎上とフェミニズムに関する議論について

少しフェミニズムについて考えていたことを書いてみる。
経緯としては、くたびれはてこ氏(id:kutabirehateko)のツイートが炎上し、きょうもえ氏(id:kyoumoe)がそれに言及するエントリーを3つ書いた。
以下のような流れになっている。

 (メタブ)

dogear1988 dogear1988 意味が分からん。あの人は普通にポルノ以外の漫画も描いてるし、性的描写が無ければ何も問題ないだろ…。

lastline lastline一度ポルノに足踏み入れたら二度とシャバに出ては行けないって話ですかね

kyoumoe kyoumoe 私には黒人の友だちがいるが黒人と差別が嫌いだみたいなことを1ツイートでまとめるという高度な手法

差別主義者のくたびれはてこ(@kutabirehateko) - 今日も得る物なしZ

もう意味がわからんよね。
誰が描いたキャラクターなのかで使う使わないの話をするとかもう性差別だけの問題じゃねえよ。
これ、要するにゲイポルノに関わっていた人間は表舞台に出してはならないってことでしょ。

くたびれはてこ(@kutabirehateko)は人に物事を伝える能力が欠如している恥知らずの差別主義者 - 今日も得る物なしZ

くたびれはてこ(@kutabirehateko)にとどめを刺す - 今日も得る物なしZ

スイス・レーティッシュ鉄道と鉄道むすめ駅乃みちか問題 - はてこはときどき外に出る

「とどめをさす」というエントリーを上げた人がいるようだけど、ほんと好きよね、勝ったの負けたの論破したのって。こういう人って現実に鉄道で働く職員が受ける女性差別や、女性の社会的地位の低さから起きる貧困やその子供たちの成育環境のこと、ゲイカップルが受ける蔑視については何もしないし、いわないんだよね。自分のコンテンツが脅かされたと思うときに都合よく出汁にして飛んでくる。

それにしても、最後のはてこ氏のエントリーはひどいものだった。はてな村に限らないが、議論の際に相手を尊重するのは最低限のマナーだ。きょうもえ氏が仕事をしていようがいまいが、配偶者がいようがいまいが、それを議論に用いるのはどうかと思う。
男女にまつわる議論は過熱しやすいところがあるとはいえ、はてこ氏の「愛情と好意が自分に向けられないのは差別だと大騒ぎをはじめる」とか「わたしがそこまで必死になれる相手はもちおだけだ。自分でそういう相手を探してもらいたい」(もちお氏ははてこ氏の夫)という反論は感情的すぎるところがある。
こうした非礼な態度は炎上後に良くある典型例なので、議論を避けて自己弁護しているのだと思われても仕方がない。


(追記)きょうもえ氏が4つ目のエントリーを書いた。

何をどう言い繕うとくたびれはてこ(@kutabirehateko)は差別主義者

わざわざインパクトの強い、社会から受け入れられないであろう作家を並べないと受け入れられないからそういう印象操作をしてるんだろうが、じゃあ前回書いたおりもとみまな(ばくおん!!)や現在普通にエロ漫画雑誌でエロ漫画を描いてる士郎正宗(攻殻機動隊)のキャラが普通に政府のプロジェクトとコラボしてることはどうなんだ?

気合いが入り過ぎていてかなりの長文だが、前半は理屈が通っていておもしろい。
後半は品のない個人攻撃だが、先にはてこ氏が個人攻撃をしているのでどっちもどっちなところがある。
(追記ここまで)

条件闘争としてのフェミニズム

とはいえ、きょうもえ氏が書いていることが正しいのかといえば、それほど単純でもない。きょうもえ氏のエントリーは、それほど拡散されているわけでもないし、多くの支持が得られているわけでもない。どちらかと言えば、「またオタクとフェミが言い争ってるな」くらいに見られているのではないかと思う。
以前からなんとなく考えていたのだが、フェミニズムは労使交渉に似ているところがある。条件闘争なのも同じだし、時代によって争点が変わっていくのも似ている。全員の考え方はバラバラで、仲間だと思っていたのに、ときどき味方が裏切ることがあるのも似ている。労働問題では労働者から経営者になると考え方が変わることがあるが、男女問題でもパートナーができて結婚すると、考え方が180度変わったりすることがある。
これは私が無知なだけで有名な話かもしれないが、フェミニズムは誰もが納得できる結末というのは存在せず、終わりのない議論なのだろうと思う。

フェミニズムを労使交渉みたいなものだと思うと、フェミニストの立場が理解できるところがある。
ネット上ではよくフェミニストがオタクを攻撃する構図があるが、労働争議では勝てるところから勝つのは当然の戦略だ。それと同じように考えると、強者男性より弱そうなオタクや非モテを叩くのも理解できる。
とはいえ、トランプ現象のように反ポリティカル・コレクトネスの機運が強くなっているので、そうした戦略も見直すべきところがあるのだろう。少なくともネット上では反フェミニズムの動きが強くなりつつあるように見える。

私から見れば、フェミニストが多少おかしなことを言っていても、それでフェミニズムが大きく変わることはないと思っている。日本共産党を支持する人は少ないが、共産党員が労働争議においては頼りになることがあるように、フェミニストは場合によっては女性の強い味方になることがある。
今回の炎上を見て、「フェミニストは信用できない」と思った人もいるかもしれないが、一般人にとってはどうでもいいところがある。もちろん炎上したことでブロガー本人が疲弊したり、アンチが増えて活動しづらくなることはあるだろう。ちなみにはてこ氏は今回の発言を謝罪したり撤回したわけではないので、今後も変わらずに活動を続けていくと思われる。

フェミニズム運動によって、いつかセックスにまで男女平等が持ち込まれて、カップルが正常位と騎乗位を半々に行う時代が来るのかもしれない。これはアンチ・フェミニストのますます(masudamaster)氏がブックマークで発言していることである。
私はそれはないと思うのだが、トランプ大統領やイギリスのEU脱退のように未来がどうなるかはわからない。はてこ氏が萌え絵が不快だと言う自由もあるし、きょうもえ氏がそれに反論する自由もある。ますます氏が男女平等を唱えるならセックスを例外扱いするなと発言するのも自由だろう。
とりあえず、はてこ氏はきょうもえ氏のリンク先はおろか名前すら出さずに言及するのではなく、名前とリンク先くらいは載せるのがマナーだと思う。