アフィリエイトを拒否する嫌儲なブロガーについて
ハルオサン氏 (id:Haruosan) のブログを読んだことをきっかけに、しばらく嫌儲ブロガーについて考えていた。
はてなブログに投稿しました #はてなブログ
— ハルオサン@警察官クビになってからブログ (@keikubi123) 2017年3月18日
ブログに「広告とほしいものリスト」を貼る予定はありません。 - 警察官クビになってからブログhttps://t.co/Mx5GFe7Nq4 pic.twitter.com/97rQnQYuXs
今のところは!
この警察官クビになってからブログに
「広告」と「ほしいものリスト」を貼る予定はありません。
はてなには多いのだが、ときどき「ブログでお金を得たくない」といった発言を見ることがある。有名なのはやはりコンビニ店長だろうか。店長が書いたと思われる増田が残っているが、そのスタンスは読者から強く支持されていた。このブログを読んでもらって、
ハテブとか感想とか
周りの人に「このブログ面白いんだぜ!」って
そういう事を言ってもらえるだけで十分私は救われています。
嬉しい!
それ以上なにかを求めるのは、求めすぎかなーと思います。
そもそも読者にとってはアフィリエイトのバナー広告はないほうがいい。テレビCMや新聞チラシを見たいという人はときどきいるが、ブログのバナー広告をわざわざ見たい人はまずいないだろう。ブログの読者にとっては、アフィリエイトは雑音でしかない。アマチュアリズムというとかっこよく聞こえるんですが、要は「無料なんだからなに書いたっていいだろ」っていうことです。あるいは「なに書いてもいい自由を俺から奪うな」「つーか金とるにあたって発生する責任とかとる気ねえから」ということでもあります。
個人ブログでアフィリエイトをやらない理由はいくつか考えられるが、アフィリエイトのルールに縛られたくないという点を挙げる人は多い。アドセンスが停止されるトラブルがときどきあるが、そのルールが明確ではないという不満はよく聞く話ではある。
しかし、ハルオサン氏ほど人気があるブログなら、アフィリエイトを始めることで、少なくとも月に数万円、うまくやればさらに数倍の報酬が期待できる。
もし現在の人気がこれから1年間続くとしたら、ベストセラーの本を書いたのと同じくらいのアフィリエイト収入になるだろう。アドセンスを貼ってAmazonほしい物リストを載せる程度なら誰でもやっていることだし、それは「餌だけ食うのはあり」と言って怪しいセミナーを紹介したり、高額案件欲しさにハイリスクな金融商品を紹介したりするのとはまったく違う。多少の粘着や嫉妬はあるかもしれないが、ブログを書いて得られる正当な対価といえるだろう。今月たくさんアクセスがあったなぁ・・と思います。
86万PV?ですよね・・・?
多いなぁと思います。
とても嬉しく思います。
嫌儲なブロガーの意見として多いのは、アフィリエイトによってブログの目的が変わってしまうのが嫌だという考え方だ。ハルオサン氏のエントリーでもこう書かれている。
炎上して予想外のアクセスが集まり、炎上目的の放言を繰り返すうちに、いつしか炎上ブロガーになってしまう……というのはよくあるパターンだが、報酬に一喜一憂してしまったり、ブログ収入に依存してしまうのが怖いという心理はわからなくもない。お金が絡んだり、
立場が変わると、
私は変に意識してしまう気がするのです。
(個人的な感覚の話です。)
私が広告を貼らないのはそんな感覚のせいなのです。
アフィリエイトが当然になった時代のブログ運営
「アフィリエイトをしない」と宣言する人気ブロガーには特徴があって、生活が困窮していると書いていたり、辛かった過去の体験に触れていたり、精神を病んでいることが多い。そうしたことをブログに書いていると、読者から支援したいとか、なぜアフィリエイトをやらないのかと問い合わせが来るのだろう。
アフィリエイトが一般的になってしまったことで、「なぜアフィリエイトをやらないんですか?やり方わからないんですか?教えましょうか?」とクソリプが来てしまう。そのため敢えてアフィリエイトをやらない理由を表明する必要が出てきてしまう。
本来、ブログというのはアフィリエイト報酬を目当てに書くものではなく、承認欲求やコミュニケーション欲求を満たすために書くものだった。今でもアフィリエイトを使わずに書いているブロガーもたくさんいるが、アクセス数が多い個人ブログではアフィリエイトを使うことが当たり前になりつつある。
こうした状況でブログに生活苦だと書いているのは難しい状態でもある。もちろんアフィリエイトを使わないのは自由ではあるものの、まるで金がないのに仕事を選んでいる作家のようなところがある。
はてなブログに投稿しました #はてなブログ
— ハルオサン@警察官クビになってからブログ (@keikubi123) 2017年3月29日
【無職日記】高卒無職のオッサンはどんなアルバイトをすればいいのか? - 警察官クビになってからブログhttps://t.co/esTyvmqePk pic.twitter.com/kMNp1bGqTT
あるいは逆に、ハルオサン氏が特別なのではなく、ネットがマネタイズに汚染され、不純なブログばかりになってしまったという見方もできる。かつて昭和の時代に、酒を出す喫茶店が増えてわざわざ「純喫茶」と呼ぶ必要ができたように、ハルオサン氏のように嫌儲なブログを「純ブログ」とでも呼んで区別すべきかもしれない。私は30歳を超えた高卒の無職のオッサンです。
特別な資格や就職に有利な経歴等も一切ありません。
そんな私が最近「求人情報誌」でアルバイトを探し始めました。
ハルオサン氏が敢えてアフィリエイトを貼らないのは、決して金儲けが嫌いだとか、広告が嫌いだというわけではないのだろう。それは信念とまでいかなくても、今まで歩んできた壮絶な人生に裏打ちされた決意があると感じられる。
はてな周辺には嫌儲の空気が今でも根強く残っているが、そこに多くの読者が惹きつけられているのは何か理由があるのだろうし、そうした空気は今となっては貴重なものかもしれない。頑なにアフィリエイトを拒否するスタイルがはてなの人気ブロガーに共通しているというのは、何かそこに思想めいたものがあるようにも感じられる。
それが何かというのが、はっきりとつかめていないのだが、純粋なブログ表現に対する強い執着というか熱意のようなものが背景にある気がしている。まるでブログと心中するかのような。そうした姿は他人から見ると損をしているようにしか見えないが、ブログ読みにとっては耐え難い魅力を放つこともある。