炎上した星井七億氏のブログについて
昨日、星井七億(nanaoku)氏のブログ「百合男子ときどき腐男子」が炎上し、ブログが削除される事態となった。
炎上の原因となったのは、批判を集めた自身のツイートについてのエントリーだが、ブログごと削除されてしまったので、現在はGoogleキャッシュか魚拓でしか読めない。
牛丼屋で「ごちそうさま」を言うことに関し、えらい誤解を受けている話 - 百合男子ときどき腐男子
http://nanaoku.hateblo.jp/entry/2014/01/17/130610(Googleキャッシュ)
(魚拓1)
(魚拓2)
ブログは削除されたのに、炎上の原因となったツイートは消されていない。(追記:削除された)
言い方は悪いが所得の低そうな人ほど、牛丼チェーン店で店員に「ごちそうさま」と言う(本来不必要なレベルの)礼儀正しさを備えているように思えるのは興味深い
— ごちそうさま強化キャンペーン (@nnnn330) 2014, 1月 16
今日になってブログを削除した理由が語られた。信じる気はないでしょうけれど一応言っておけば、ブログを消したのは「PV稼ぎ狙いの炎上だ」という誤った指摘があったからです。ブログがなければPVは関係なくなりますから
— ごちそうさま強化キャンペーン (@nnnn330) 2014, 1月 18
ちなみにブログ「百合男子ときどき腐男子(ブログ削除済)」は1カ月前にできた新ブログで、まだ13エントリーしかないにもかかわらず300ブックマークを突破したエントリーもある。
おそらくブログが削除されていなければ人気ブログになっていたと思われる。
『百合男子ときどき腐男子』 の新着エントリー - はてなブックマーク
炎上した原因とメインブログについて
バカッターなどで自分の個人情報が晒されるのを隠すためにブログが削除されるのはよくあることだが、今回のように読まれているブログが削除されてしまうのはまれなことだ。
炎上した原因について、kyoumoe氏がわかりやすく言及している。
本人が必死で言い訳してるけど、低所得とか牛丼とかを差っ引いても「飲食店でごちそうさまと言うのは本来不必要なレベルの礼儀正しさである」と書いてあるようにしか見えないので叩かれてもしょうがないしその後調子乗ってるあたりがクソだと思いますね、クソ。
(中略)
つか「身なりがきっちりしてなくて礼儀正しくなさそうに見える人ほど牛丼屋でごちそうさまって言うよね」で済む話なのにね。
もともと星井七億氏は「ナナオクプリーズ」がメインブログだったが、炎上のためか現在は非公開設定になっている。
INTERNET Watchに紹介記事がある。
「ナナオクプリーズ」は創作系ブログだったが、昨年12月に月間98万PVを達成したのを契機にして一区切りして、新たに日記ブログ「百合男子ときどき腐男子」を立ち上げたところ炎上してしまったという経緯のようだ。星井七億氏のブログ「ナナオクプリーズ」といえば、「制約だらけの桃太郎」「桃太郎をヒップホップ調にしてみた」など、桃太郎への異様な執着による数々の名エントリで知られるが、その最新作である「もしも矢沢永吉が桃太郎を朗読したら」が、あろうことか矢沢永吉氏の実娘を通じてご本人に届いてしまうという事故が発生したことが報告され、ネットで話題になっていた。
【やじうまWatch】「もしも矢沢永吉が桃太郎を朗読したら」に永ちゃん本人がまさかのコメント -INTERNET Watch
あとインタビューズも書いている。
星井七億のインタビュー(7件) - 「nanaokuのインタビュー」 - ザ・インタビューズ
http://theinterviews.jp/nanaoku
ちなみに本拠地はTwitterで、そちらの活動はまだ続いている。(追記:残念ながら全ツイート削除され更新停止された)
ごちそうさま強化キャンペーン (nnnn330)さんはTwitterを使っています
https://twitter.com/nnnn330
メインブログ「ナナオクプリーズ」はTwitterで人気があり、ブックマーク数に比べリツイートされている数が多い。
参考までにグリモンのスクリプト「Social bookmark counter on Google search. for Greasemonkey」を入れた状態のGoogle検索結果を貼っておく。
青がFacebook、水色がTwitter、オレンジがはてなブックマークだが、「もしも矢沢永吉が桃太郎を朗読したら」がFacebookでも拡散したことや、Twitterでの影響力が大きいことがわかる。
炎上を発生させる「まとめサイト」の存在
今回の炎上は、まとめサイトやニュースサイトが大きく煽ったことが背景にある。
星井七億氏が炎上した元ネタはこれ。痛いニュース(ノ∀`):「所得の低そうな人ほど、牛丼チェーン店で“ごちそうさま”と言う」 → 大炎上 http://t.co/vAXVPMtDJg
— はしぞー?シュンスケオギハラ (@hasizo_or_snsk) 2014, 1月 17
星井七億叩きを見て、とある2ちゃんまとめは本当に屑だなと思った。あえて名前は出しませんけども。自分が一番痛いニュースになってるんだっつーに。。
— ファントム (@fphantom) 2014, 1月 17
ブログが炎上するのは日常茶飯事とはいえ、有名人でもない個人ブログが2ちゃんねるに飛び火するのはさほど多くはない。
非常に残念なことに、星井七億氏のメールにはいやがらせのメルマガ登録が相次いだようで、まるで10年前のような古臭い慣習が未だに2ちゃんねるに残っていたことに驚き、そして嫌な気分になった。
すげー。僕のメルアドでいろんなメルマガやサイトに登録してる人がいる。メールフォルダがすごいことになってる。90件くらい。ファミ通から国土交通省まで
— ごちそうさま強化キャンペーン (@nnnn330) 2014, 1月 17
今回の件は、おそらく本人やフォロワーにしてみれば、なぜ炎上したのかという程度の話だろう。
ツイートをまとめて読んだり、ブログを読んでもまったくひどい感じはなく、むしろ被害者に過ぎないように感じられる。
それが「牛丼」や「所得の低そうな人(低所得者)」というキーワードを伴っていたことで、2ちゃんねるやまとめサイトなどで叩き対象へと祭り上げられて炎上した。
ただ単に刺激的で誤解を招きやすい表現に問題があるのだろう。
星井七億さんの牛丼ツイートはちゃんと読めばご本人の主張どおりでなんの問題もないんだけどさらっと読むと批判されてるとおりの印象を受けるからなんか騙し絵みたいだと思った
— 朽木誠一郎 (@amanojerk) 2014, 1月 17
ネットで発言していると無意識のうちに影響力の強い言葉を選んでしまうのはよくあることだが、その言葉尻を捉えてアクセス稼ぎに利用されただけで、今回の炎上はまるで放火されたようなものだ。
しかしPV数を稼げるのであれば、有名人だろうとそうでなかろうと炎上の対象にさせられてしまう。
何の事はない日常性のある発言が、拡散性のあるニュースサイトを経由して炎上してしまった。
それを拡散させたサイトにも問題があるが、結局のところ商業的なPV稼ぎが目的なのでどうしようもない。
マスコミが馬鹿なのではなく、それを喜ぶ読者がいるのと同じ問題だ。
バカッターのように、「放火ニュースサイト」とか「炎上サセンデー」とか、わかりやすい用語がないものだろうか。
とか、考えながら調べていたら、中川淳一郎氏のこんな的確なエントリーがあった。
たしかにネット上の「地雷」は徐々に増えているように感じられる。まぁ、ネット上には「地雷」とも言える案件が多数存在し、それは多分、ネット上では発言しない方がいいんですよ。よっぽど炎上させてアフィリエイト稼ぐ目的があったり、本やメルマガ、講演の宣伝のためにとにかく注目度が必要な人はさておき、一般人はあんまりこれらの案件については書かない方がいいですよ。
だって、ハイリスクノーリターンなんですもん。宣伝材料持たない一般人がこれらの題材について語るのは。ほんと、ノータリンですよ。だって、これらの題材って結局はイデオロギー対決であり、宗教戦争であり、立場が違えば絶対に納得できないワケですからね。だったら不毛な議論(笑)なんてしないでいいんじゃねぇの? つーか、議論でもなんでもねぇよ。2014年も早速炎上案件続々! ネットでの情報発信、そろそろお前ら考え直すべき時期じゃねぇ? - ウェブはバカと暇人のもの
いずれインターネットは炎上歓迎のアフィリエイターか匿名でなければ発言できない世界になるのだろうか。
追記:星井七億氏のお詫びについて(2014-01-18)
新しく作成されたブログにお詫びが掲載された。
特定の個人や集団を傷つけたわけでもないのに、更新停止、過去ログ削除、出版停止をするのは厳しすぎる。(さらに過去の全ツイートも削除された。)
炎上に対して、こんなに下手に出ると、ちょっと叩かれるような表現をしただけで、すぐに閉鎖しろとか削除しろという圧力が強くなる気もする。
本人の気持ちの問題やTwitter上での嫌がらせもあるようなので難しいかもしれないが、あくまでも自粛に過ぎないのだから、すぐに再開されることを願っている。
もうひとつのブログに関しては、こちらのほうも先述に伴い、無期限の更新休止とさせていただきます。今までたくさんの方にお読みいただけたことをとても嬉しく思います。これまでのご愛顧、本当にありがとうございました。また刊行物に関しましては、全て出版停止の処置を取らせていただきました。
皆様にお願いがあるとすれば、問題の件と無関係な僕の友人・知人に対する攻撃を控えていただきたく思います。僕自身が蒔いた種とはいえ、現在の事態はとても看過できない状況にあります。こればかりはどうか、僕の意思を汲んでいただければ幸いです。あらゆる批判は、僕ひとりで全て受け入れる所存です。また、「死ね」「殺す」といった批判の域を逸脱した目に余る言葉も、控えていただきたく思います。