いぬじん(inujin)氏が提唱するサードブロガーの理想と現実

サードブロガー論というのがある。

サードブロガーというのは簡単に言うと、競争に加わらない道だと理解している。

id:inujinによる定義
サードブロガーとは、遅れてきた人:サードブロガーは今を生きている。
サードブロガーとは、勝たない人:サードブロガーは、戦わないし、だから勝つこともない。
サードブロガーとは、期待している人:サードブロガーは、ブログに対して期待している。

サードブロガーとは - はてなキーワード

その提唱者であるinujin氏がこんなエントリーを書いた。
落語のような軽妙な文体がおもしろくて読ませる。

誰がサードブロガーの話を入れろといった、サードブロガーはまだ早いよ、サードブロガーは、すぐに火が通るからね、最後の最後にしなさい、何事も我慢が大事なんだ、我慢が・・・ったくもう。

ブログで、1人鍋パーティーしてます。 - 犬だって言いたいことがあるのだ。

このエントリーにはinujin氏の考える、サードブロガーの出発点ともいえる主張が語られている。
地道にブログを書くことで現実の生活も豊かにしていこうという提案だと思う。
理想論にも思えるが、ブログの原点に戻ろうというような話だ。

サードブロガーってのは、別に何ブロガーでもいいし、肩書きなんかどうでもいいんですけど、ブログの世界だけにとどまるわけでもなく、かといってリア充生活を満喫することだけが目的でもなく、色んな世界を行ったり来たりしながら、自分の人生を紡いでいる。

他の誰のものでもない自分の人生を、紡いでいく。

そんな自由な生き方を、僕はしたい。

アフィリエイトが蔓延するブロゴスフィア

inujin氏の考える理想像はわかるが、個人的にうまくいくわけがないと思う。
ブログのマネタイズはなくなることはないし、さらに年々加速している。
イケハヤ師の啓蒙もあり、ブログ収入を公開するブログは確実に増えてきている。
できればアフィリエイト収入があればと望むのも、それを実現している人が多数いる状況では当然のことだ。

それにブログには読者が必要だ。
アクセス数が減ると勢いがなくなって、惰性で更新しているだけの状態になる。
そのうち更新が少なくなって、Twitterに移行するというのがよくあるパターンだ。
例えば、今年10周年を迎えた「finalventの日記」は現在、更新が週1回程度しかなく、ほぼTwitterに移行している。
氏の場合は「極東ブログ」というメインブログを持っていることが大きいのだが、日記やライフログTwitterでも十分という一つの事例だと思う。

2000年代ならともかく、現在では読まれない日記ブログを書くメリットはない。
TwitterなどのSNSを使ったほうが、コミュニケーションを取りやすいなどメリットは大きい。
つまり現在のブログ界とは読まれてなんぼ、アフィを貼ってなんぼの世界である。

サードブロガーが批判される理由

明確な定義はないが、サードブロガーは「はてなブログ」でブログデビューした人ということになっている。
そこに参加して、お互いに読者登録をしたりスターやブックマークを付け合ったりするグループが成立している。
身内ブクマを批判されてスターを付けるようになったため、サードブロガーのブログには異様にスターが付いている。
そのせいか3ブクマなのに50スターとか付いていることもある(この辺りの事情はあまり詳しくないので教えてください)。

それはアメブロなどでもよくある光景だが、「サードブロガー」という定義付けが曖昧なこともあって賛否両論を呼んでいる。
私が過去にまとめたエントリーでは、サードブロガーに対してこのような批判がある。

・サードブロガーとは承認欲求が強く、ブログを書く必要の無い人たち
・自分の文章を持たず、表現に対する姿勢が甘い。お喋りのようなもの
・悪意など持っておらず、自分そのものだから傷つきやすい
・個人を公表して、それから情報のやり取りを始める、全く違う価値観を持つ

masudamasterのサードブロガー論 - 人生夢オチ

こうした批判の背景にあるのは、ブログを書く動機に承認欲求やマネタイズがあることだ。
ブログより先にmixiTwitterなどのソーシャルネットワークを使っていて、ネットを使ったコミュニケーションに慣れている。
その次のステップとしてブログを書き始めるため、文章を書きたい欲求よりも承認欲求が先行する。
だから手っ取り早くブログ表現を身につけて、ひたすらアルファブロガーを目指す競争に加わってしまう。
初めてホッテントリが出たらそれだけでネタにするし、ホッテントリを狙って書籍とかマンガとか映画のまとめエントリーを書く。
自然と似たような文体や、似たような内容が増えていき、ああ、またサードブロガーかと思うようになる。

承認欲求とマネタイズが目的だと、ブログに付くブックマークは単なる集客装置に過ぎない。
ブックマーク数はできるだけ大きいほうがいい。
批判を受けて身内ブクマは自粛しているが、「いいね」を競い合うFacebookのコミュニティを彷彿とさせる。
こうした姿はmasudamaster氏のようなブックマーカーから見て「ブログを書く必要の無い人」だとするのは的確な指摘だろうし、激しい競争を見かねたinujin氏は「サードブロガー」という新しいゆるやかな価値観を提唱したのだと思う。
それでも完全にパクリでホットエントリーを狙うブロガーが出てきたように、目的と手段が入れ替わっていることに気づかずに、ひたすらブックマーク数を狙うブロガーは今後も相次ぐだろう。

サードブロガーの理想を実現するには?

サードブロガーを提唱したinujin氏も上記のエントリーで、「新しい言葉で人を定義づけるのは非常に危険だし、(中略)その暴力性みたいなのを今はちゃんと認識してます。」と述べている。
サードブロガーは理想から離れ、実態は「はてなブログの活きの良い新人」みたいな用語として使われている。

とすると、再来年あたり「サードブロガー」は中堅ブロガーの集まりになって、そして新しく入ってきた新人はそれを疎ましく感じて、別の「ほにゃらら連合」とか「にょろにょろ勢」を作るのだろう。
上を目指さない生き方にはコミュニティが欠かせない。

とか、つらつらと考えていたら夢を見た。


inujin「よう来た、よう来た。寒いところ」
私「今日は本当に寒いですね」
inujin「鍋がいい感じになってきたところですよ」
私「それはよかった。でも、唐突ですがinujinさん。サードブロガー論っておかしくありません?」
inujin「いえいえ、あなたも立派なサードブロガーです」
私「えっ?私はただのウォッチャーだし違いますよ」
inujin「ブロガーがサードブロガーについて語ったら、それはもう立派なサードブロガーだと認識してます」
私「えっ」
inujin「これからはサードブロガーという言葉を使うように努めてください。あと月に2エントリーくらい、サードブロガー論を書くといいでしょう」
私「えっえっ」
inujin「その輪が広がっていくと、1年後にはほとんどのブロガーがサードブロガーになるのです。さあ、みんなで広げよう、サードブロガーの輪!」
私「えっえっえっ」
inujin「ああそうそう、30万PV/月を超えたらもうアルファブロガーですから、サードブロガーを卒業して賛助会費を収めることになってます」
私「えっえっえっえっ」
inujin「というのは嘘ですが、なに、本当だったとしても心配いりません。アルファブロガーになれるのはたったの上位3%程度ですから」
私「まあ、それなりにブレイクした大彗星ショッカーさんですら毎日3〜4本書いて月3万円前後ですからね」
inujin「そんなわけでサードブロガーとして生きていくためには、もっとブログ愛が必要です。アクセス数やアフィリエイトにこだわらず、古参アカウントがブクマしてくれるだけで喜べるようになれば本物です」
私「村長やシロクマ先生にクネクネしている、おっぱいアイコンのことですね、わかります」

という夢を見た。

(参考)
サードブロガー()のなんとかさん
http://anond.hatelabo.jp/20131213231644

私はなぜ、アイコンをおっぱいにしたのか - 夜の庭から
http://meerkat00.hatenadiary.jp/entry/20131204/1386167620

(完全にパクリの内容でホットエントリーを狙うブロガー)
引用・転載しただけの記事でブクマが1000いくのか - はてブのまとめ
http://hotentry.hatenablog.jp/entry/2013/12/15/005657


(追記:2013-12-20)
読みにくかったので、文章の細部を何箇所か修正しました。こんな読みにくいヘッポコエントリーにスターやブックマークを付けて頂いて、本当にすみません。