青二才氏がプロブロガーになれない理由について

中川龍氏(元大彗星ショッカー氏 id:noabooon)が青二才氏についてのエントリーを書いていた。青二才氏は今のブログに固執せず、もっと情熱を傾けることができるものを見つけるべきという内容だ。

イケハヤが稼げるようになったのは何故か?

それは彼の商才やセンスもあったのかもしれない。

だが圧倒的なのは、やはり「好き」という情熱なんだよ。

青二才さんが稼げない理由 - 中川龍のヒマつぶし

ショッカー氏らしい軽妙な文章で読みやすいものの、情熱があれば稼げるようになるという論理展開は少し強引なところがある。
ショッカー氏は別のエントリーで自身のことについてこう書いている。

僕はもともとブロガーとして成功することを夢見た人間だったが、結局「儲からない時期」を乗り越えることができなかった。

当時の僕にとって「ブロガーになる」とは、ただただ「金銭を稼ぐこと」しか意味を見出せない行為だった。

お金だけが動機の人は成功者になれない。byイケダハヤト - 中川龍のタロット占い

ショッカー氏は「儲からない時期」を乗り越えることができなかったと書いているが、簡単に言えばプロブロガーの夢に見切りをつけただけのことだ。結果的には「占い屋としてはうまくいった」ようなので、決断は正しかったのだろう。
青二才氏は情熱よりも、ショッカー氏のような現実適応能力がないことのほうが問題だろう。青二才氏は一般人から見れば、異常なほどにネット活動に傾倒しているし、十分すぎるほどの情熱を注いでいる。もし新しい挑戦に情熱を傾ければ成功するというアドバイスは、ポジティブな考え方ではあるが根拠はない。
ショッカー氏の考えとよく似たことをイケダハヤト氏が書いている。

これまで、オタク的な知識というのはマネタイズは困難でした。せいぜい小さな趣味コミュニティのなかで、消費的に盛り上がるのが関の山だったのでしょう。現に、上で紹介している神社オタクの方も、スポーツオタクの方も、その膨大な知識と情熱を使って「お金を稼ごう」とは、微塵も思っておられないようでした。

しかし、今は違います。サイト運営を勉強し、自分の知識を適切に露出していけば、広大なネット上に自分の知識の王国を打ち立てることができてしまいます。

ブログで成功するのは、圧倒的な情熱を持った「オタク」たちである : まだ東京で消耗してるの?

オタクが注いできた情熱はマネタイズ可能になったという考え方だが、オタクであることとアフィリエイトで稼げることは別の才能である。知識や経験を活かそうとブログを始めても、現実にはうまくマネタイズできないことのほうが多い。

運を重要視する成功者たち

ビジネス書や自己啓発本ではモチベーション管理について語られることが多いが、実際に成功した人はモチベーションをあまり強調しない印象がある。
イケダハヤト氏も情熱については環境が大事だと書いている。

情熱を持つためには、まず「誰かから認めてもらうこと」が必要で、その情熱を燃やし続けるための「余裕」も求められます。

「情熱的に生きる」という観点では、「後押しをしてくれる存在」はとても大切で、ぼくは自分の過去を振り返っても、現在を見ても、環境的にとても恵まれています。妻がいなければ、ぼくはこんな風に毎日楽しく生きていませんから。

「情熱を持つことができない」のは、あなたのせいではなく、環境に問題があります : まだ東京で消耗してるの?

インターネット上ではイラストや漫画を描いている人がたくさんいることもあって、漫画家を目指している人の相談を目にすることが多い。絵師がどうやってプロになるかといったトピックは定期的に話題になっている。
最近もこんなまとめがあった。

漫画家さんたちが語る『勤め人をやめて漫画家を目指すのは止めたほうがいいぞ」というお話 - Togetterまとめ


この漫画家は失敗することを前提にアドバイスしているが、今まで才能に恵まれながらも挫折してしまった人を見てきた故の発言だろう。
また、さいとう・たかを氏は漫画家に必要なのは才能を超えた運だと話している。

「才能があるというのは、前提の話であって。この世界に入る以上、才能なんかあって当たり前なんです。それ以上に、デビューするとか、頭角を現すとか、生き残るなんてのは、もう才能を超えた……運としか言いようがない。才能があるのに、運がないばかりに消えていった人を、私はたくさん見てきましたから……」

全マンガ家志望者必見。: たけくまメモ

成功した人は情熱が大事だということを信じているわけでなく、むしろ情熱についてはアマチュアの人や経営者などのほうが強く信じている傾向があるように感じられる。それはプロという夢を追い続ける辛さだったり、過度なストレスに耐えるための自己暗示から来るものかもしれない。実際には成功した人が言うように、情熱だけではなく運や環境も大事だろうし、自己啓発を続けたところでどこかに限界がある。

個人的には青二才氏は情熱が足りないとも、やり方が悪いとも思わない。最近はブロガー同士の交流もさかんに行っているし、アクセス数もブログ全体で見れば上位1パーセントに入るだろう。今のままでもブロガーとして十分な成果を残している。おそらくブロガーとしての運はかなり良いほうだ。
ただしプロブロガーとして稼いだり、ライターとして執筆活動で生計を立てるには、もっと才能や運が必要になるだろう。それはプロの漫画家を目指すのと同じように、個人の努力や情熱だけでなんとかできるものではないのかもしれない。

もしネットの集合知を活かすとしたら、無難ではあるが仕事をしながらブログを続けるのがいいのかもしれない。そのほうがブログの幅も広がるし、新しいネタも見つかるだろう。
妄想に過ぎないが、もし青二才氏がコンビニでバイトすれば、はてなブログに欠けてしまったコンビニブロガー枠を狙えるかもしれないと思う。飲食店の食レポートより、コンビニについて語るほうが注目も集まるし、アクセスも集まるはずだ。どこかのコンビニ店長が雇ってくれたらいいのにと思ったりもする。