人気ブロガーが身バレせずにブログを書き続けることの難しさについて

いつか書こうと思っていたが、連休最終日にひっそりと書いてみる。
名前は出さないが、ある人気主婦ブロガーのことである。
勘違いしないでほしいが、私はファンなのでブログ活動が続くことを願っている。
ファンであるからこそ、気になって仕方がないこともあるのである。
彼女の姿は、まるで小説の登場人物ようだ。
社会問題などの難しいテーマを論じつつ、悪質なネットニュースを批判し、育児をしながら主婦向けの話題を扱い、巧みに炎上を回避しながら人気ブログを執筆し続ける。
個人情報はフェイクを織り交ぜて読者を惑わしつつ、取材された相手とは秘密保持契約を結ぶ徹底ぶりだ。
しかし、現実は小説のようにいかないのが常である。
いくら秘密保持契約を結ぼうと、人前に出て行けばいつかは身バレしてしまう。

実名では書けないことを書いたほうが注目されるインターネット

身バレすることの何が問題なのか。
ネットでは実名を出さずに書けるため、親しい関係にしか言えないような告白をしたり、人前では話しづらいことを打ち明けることができる。
そのことはネットの素晴らしい長所でもあるが、実際には不安定な状態でもある。
よく見かけるのは、強気な発言で人気のユーザーが本人特定された途端に非公開にしたり、弱気なキャラクターに様変わりすることだ。
なぜ強気でいられなくなくなるのかというと、家族や友人だけでなく、仕事上の知り合いなどにも見られてしまう可能性があるからだ。
インターネットは世界中に発信されているとはいえ、リアルな生活範囲に向けて発言しているわけではない。
多くの人にとって、近所のおばさんに「ブログ読んだわよ」と言われたり、会社の上司に「Twitterやっているんだね」などと言われたらたまったものではない。

だったら実名で活動したほうがリスクはないし、ネットから得られる実りも大きいという考え方もある。
しかし日本の現状を見ていると、Facebookのような実名主義とは逆の方向に向かっているように感じられる。
ブログやSNSでは、人に言えないようなことを書けば書くほど注目を集まる。
女性なら恋愛や失恋の話をしたり、生い立ちや家族のことを書いたりする。
男性なら性癖について語ったり、会社への不満を書くことも多い。
それは人前では話しづらいことだし、職場や家族にバレたら困る内容だ。
しかし、どうも私たちはそういう内輪話のようなものが読みたいし、2ちゃんねる発言小町Yahoo!知恵袋や増田(匿名ダイアリー)のように、匿名で書けるサイトが人気を集めているのも、そういう状況によるものだと感じられる。

職場バレ家族バレせずに人気ブログを書き続けること

人気主婦ブロガーのことに話を戻す。
タフな精神力、発言小町で磨き上げられた文章力は、並の主婦ブロガーとは大きく一線を画する唯一無二の存在である。
はてなには1500〜2000万人程度のユニークユーザーがいる。
彼女は話題になることも多いので、おそらく今までに100万人程度に閲覧されていると推測される。
月間20〜30万程度のPV数なので、無理な数字ではない。
だととすると、すでに知り合いが彼女のブログを読んでいる確立はかなり高い。
交友関係があるのは同世代で趣味が似ていることを考えると尚更だ。
だからブログを続けているかぎり、「もしかしてブログ書いてる?」と聞かれる場面が出てくるだろう。
プロフィールにフェイクが混じっているにしろ、出身大学から家族構成、会社員の経歴まで書いている。
それがすべて嘘ではないだろうし、身近な人が見ればわかってしまうこともある。

恐れているのは、もし身バレした場合、ブログを続けられるのかということだ。
原因は不明だが、はてなには人気がありつつもブログを続けられなくなったブロガーもいる。
以前からそのことについて考えていたが、私はたぶん難しいのではないかと思っている。
もちろん悪いことをしているわけではないし、法に触れなければブログには何を書くのも自由だ。
まずいのは公務員が副業禁止なのにアフィリエイト収入を得ている場合くらいのものだろう。
とはいえ現実的には、身バレしてもブログを書き続けるのは、そう簡単なことではない。
ブログを見ると、家族への不満や性的な話についても触れている。
誰にでも見せられるように書いているわけではない。

それに、なにより蛙の子は蛙である。
いずれ子供が小学生になり中学生になれば、家族バレするリスクはさらに高まる。
そうした事態は万が一にも避けなければならない。
そんなミスはしないと思うが、そういうリスクを承知の上でやっているのではないかと思う。
今からでも家族や同僚には見られたくないページを削除することもできるが、たぶんそういうことはしないだろう。
個人的には何年経とうと変わらず現在のようなブログが読めるとうれしいが、たぶんそれは難しいだろうし、本人もそれを見越しているのではないかと思う。

ブログというのは、かつては同人誌のようなものだったのに、いつのまにか自費出版して書店に並んでいるような扱いになっていると前のエントリーで書いた。
ネット社会ではブログが人気になると、もしかしたら子や孫の世代にまで見られる可能性があるのかもしれない。
もちろん人気がなければ、誰にも気付かれないのでそんな心配をする必要はまったくないのだが。